このシリーズは、50万人以上の開発者の給与相場やIT企業のスキルレベル別の調査結果などの国のデータ、公開されている約数十万件以上のフリーランス案件単価のデータ等からエンジニアの年収等の相場を職種や言語からスキルレベル別に検証していくシリーズです。
今回は[SREエンジニア]について検証していきます。
エンジニアのスキル評価はとても難しい問題です。 例えばRuby(経験1年)であっても、Pythonを十分に扱えるエンジニアがRubyを始めた(経験1年)と、Rubyからエンジニアを始めた人の(経験1年)のレベルは圧倒的な実力差があります。
当検証は、IPAや資格認定機関、大規模調査や等で利用される言語化されたスキルレベルが広がる事で、スキルレベルについて理解しやすくなり、どのようなスキルや資格、経験を積めばスキル評価(年収・報酬)に繋がるのか、少しでも参考になればと思い検証・考察を行っています。
当検証は、IPA、経産省調査結果、その他検定機関等のスキルレベルを参考に下記に定義したスキルレベル表を利用して検証を行います。
定義やスキルレベル別の昇給率は別記事で検証してますのでご覧ください。
まずはエンジニアの正社員給与の相場から見ていきます。 それでは早速、検証結果を見ていきます。 ※今回の検証は利用する調査結果の中で職種の近いIT運用・管理(顧客向け情報システムの運用)の平均年収[608.6万円]と標準スキル[3.4]を引用して検証しています。
条件をもと算出した[IT運用・管理]を行うエンジニア(正社員)のスキルレベル別の年収は、[新人レベル:362万円~][初級レベル:463万円~][若手レベル:528万円~][中堅レベル:608万円~][PL~PMレベル:767万円/月~][PM~幹部:990万円/月~][CXO・役員レベル:1,195万円~]という結果になりました。
エンジニアとしては、独立して全ての仕事を完了できる[中堅]レベルを満たす事で平均年収で:600万円以上が見えてきます。また、管理・指導できるランク[PL~PM]以上になる事で年収も約750万円以上となり、一気に年収(評価)も上がっている事がわかります。
SREエンジニアの案件相場は、平均単価:70~80万円/月で推移しています。 フリーランスの検証も正社員と同様、同ランクの中堅(詳細:表1)を標準レベルの基準として利用して算出を行っていきます。
条件を下に算出したフリーランス(SRE)のスキルレベル別の月額報酬は[新人レベル:44万円~][初級レベル:56万円~][若手レベル:64万円~][中堅レベル:74万円~][PL~PMレベル:93万円/月~][PM~幹部:120万円/月~][CXO・役員レベル:145万円~]という結果になりました。
公開案件相場と照らし合わせると、以下の結果となります。
スキルレベル別の算定結果と各社が公開している案件相場を比較すると、最高単価相場で案件相場が低い数値となりました。
現在、SREはまだ需要自体が伸びていない職種という影響がありますが、サービスの信頼性や価値向上は企業の価値・顧客の満足度や確保にもつながるため、今後需要は伸びると予測されています。
正社員年収とSREエンジニアの報酬を年収ベースで比較していきます。 一般的にフリーランスの報酬がリスクや税金面等から高い報酬が設定されていますが、SREエンジニアでは年収ベースでどの程度の年収に差が出てくるのか見ていきましょう。
フリーランス(SREエンジニア)と正社員(IT運用・管理)のスキルレベル別の平均年収は以上の結果となりました。
SREエンジニアでは、フリーランスが正社員より【約1.5倍】の報酬に
以上、フリーランスと正社員の年収の差についてみてきた結果、SREエンジニアではフリーランスの報酬が、正社員(IT運用・管理)より約1.5倍程度に設定がされている検証結果となりました。
一方、正社員の給与も一般的な正社員の給与として高い水準であり、また給与からは見えないような待遇や恩恵も多々あります。 フリーランスの方は額面は大きくなる一方、税金や受注の際にマージンがある場合等も考えなければなりません。今後フリーランスとして活躍できるよう、積極的に行動して信頼できるビジネスパートナーとの巡り合いや、スキルや経験を身に着けてご自身のブランディングを行っていくことが重要といえます。
当検証がフリーランスと正社員の選択で悩んでる方などにとって、少しでも参考になればと思います。